21期生(2011年度4月入学)

大森麻紀(おおもり あさき)

研究・関心

ことばの学びにおける〈他者〉の役割に関心があります。近年,学習者は,海外にいてもインターネットを通じて容易に日本語や日本文化に触れることができるようになりました。教室内外で,学習者がどのように日本語を学んでいるかを考えたとき,学習者を取り巻く多様な〈他者〉との「つながり」がカギとなっていると感じます。ことばの学びにおける〈他者〉の意味を探り,教師としてどのように学習者の学びをサポートできるかを考えたいと思っています。

学位論文
  • 大森麻紀(2013).『JSLの子どもが主体的に学べる読み書き支援のあり方――子どもと支援者による〈他者〉を取り入れた文脈作りをもとに』早稲田大学日本語教育研究科修士論文(未公刊).

自己紹介

青山学院大学文学部日本文学科日本語教育専攻卒業。

学部生のときに,地域の小学校でJSLの子どもへの支援ボランティアを経験したことを契機に,年少者日本語教育に興味を持ちました。修士課程在籍中には,都内の公立小学校・中学校にてJSLの子どもへの日本語支援に携わりました。

修士課程修了後は,都内公立中学校での日本語指導員や日本語学校非常勤講師を経て,2013年9月より,国際交流基金・日本語指導助手としてハンガリー・ブダペスト日本文化センターに勤務しています。ブダペスト市内の高校と大学で日本語の授業を担当しています。

業績

著書
  • 川上郁雄,人見美佳,上原龍彦,大森麻紀,本間祥子(2015).日本語を学ぶ子どもたちの震災後――心とことばの学習を支える実践研究.鎌田薫(監)『震災後に考える――東日本大震災と向き合う92の分析と提言』(pp. 984-992)早稲田大学出版部.[抜き刷りをダウンロード:PDF
論文
  • 大森麻紀(2012).JSLの子どもへの支援をどのようにデザインするか――「二人で創る支援」への変容に着目して『年少者日本語教育実践研究』19,2-12.https://gsjal.jp/kawakami/youngjis19.html
  • 大森麻紀,本間祥子(2012).[研究ノート]「本」の世界を通して心とことばの学びを支える試み――被災地での「せかい子ども音読大会」の実践から『ジャーナル「移動する子どもたち」――ことばの教育を創発する』3,109-119.https://gsjal.jp/childforum/journal.html
  • 大森麻紀(2012).年少者日本語教育における読み書き支援をデザインする視点――「他者」への意識とことばの学びの関わり『年少者日本語教育実践研究』18.https://gsjal.jp/kawakami/youngjis18.html
  • 大森麻紀(2011).実践者と子どもの関係性を考える――子どもの「わかんない」を避けたいという気持ちへの着目から『年少者日本語教育実践研究』17,50-57.
研究発表
  • 大森麻紀(2013年3月30日).「JSLの子どもが主体的に学べる読み書き支援の視点とは何か――支援者と〈他者〉による情意的支えに着目して」早稲田大学日本語教育学会2013年春季大会(東京:早稲田大学).
  • 大森麻紀(2013年2月18日).「支援者と子どもによる文脈作りの可能性――支援者の意識変容に伴う文脈の作り手の変化過程をもとに」第3回年少者日本語教育研究フォーラム(東京:早稲田大学).
  • 大森麻紀(2012年8月18日).「取り出し支援のあり方を考える―JJSLの子どもの主体的に学ぶ姿勢を育てる教科指導実践の試み」2012年日本語教育国際研究大会(愛知:名古屋大学).
  • 大森麻紀,本間祥子,上原龍彦(2012年3月4日).「『本』の世界を通してことばの学びを考える――被災地での『せかい子ども音読大会』の実践から」「移動する子どもたち」国際研究集会(東京:早稲田大学).

原絵莉子(はら えりこ)

修了後

日研修了後は保育関連の一般企業で働くことになりました。日本語教育とは少し離れてしまいますが,日研で学んだことを忘れずに日々過ごしていきたいと思います。

論文

  • 原絵莉子(2013).『日本語を学ぶ子どもの在籍クラスへの参加を支える支援――社会との関係の中で変化する子どもの「声」に注目して』早稲田大学日本語教育研究科修士論文(未公刊).

人見美佳(ひとみ みか)

研究・関心

修士課程在籍中の2年間,公立高校の日本語サポーターとして,日本語を学ぶ高校生たちの生きることを支えるための学校教育における日本語教育について研究し,修士論文にまとめました。

2013年6月より,東京都目黒区教育委員会で,国際理解教育支援員日本語教育担当(日本語教育コーディネーター)として,区内の日本語教育システム構築のための業務に従事しています。(関連:目黒プロジェクト

また,日々複数言語の中に生きる子どもたちへのキャリア教育・全人教育としての日本語教育に対する関心から,「大学に行ってみようプロジェクト」にも立ち上げメンバーとして参加しています。

自己紹介

関西外国語大学国際言語学部国際言語コミュニケーション学科卒業。副専攻として日本語教員養成課程を修了。同時に,中学校・高校教員免許(英語)を取得。

大学在学中,高校で教育実習をさせて頂きました。そこでのJSL生徒との出会いを契機に,年少者日本語教育,とりわけ高校生への日本語教育に興味を持ち,貢献したいと考え,大学院へ進学しました。

修士課程在籍中,2012年8月並びに10月,『Prime Minister’s Education Assistance Program for Japan』というメルボルン大学と早稲田大学並びに宮城教育大学の学生交換研修に参加しました。その研修を通して,オーストラリア・メルボルンでそして日本で,子どもたちの心を支えるための学校教育について学び,実践を行いました。さらに,2013年2月から3月に,『SENDプログラムのパイロット研修』にも参加し,シンガポール国立大学で海外日本語教育の実情を授業見学や実践を通して学びました。

業績

著書
  • 川上郁雄,人見美佳,上原龍彦,大森麻紀,本間祥子(2015).日本語を学ぶ子どもたちの震災後――心とことばの学習を支える実践研究.鎌田薫(監)『震災後に考える――東日本大震災と向き合う92の分析と提言』(pp. 984-992)早稲田大学出版部.[抜き刷りをダウンロード:PDF
論文
  • 人見美佳(2013).『高校日本語教育における「キャリア教育」のあり方――日本語を学ぶ子どもたちの「言語意識」に着目して』早稲田大学大学院日本語教育研究科修士論文(未公刊).
  • 人見美佳(2011).取り出し支援における指導員と生徒に必要な関係性とは――日本語に「自信」を持つために『年少者日本語教育実践研究』17,10-15.
書評
  • 人見美佳(2011).ブックレビュー:齋藤ひろみ(編)『外国人児童生徒のための支援ガイドブック――子どもたちのライフコースによりそって』.https://gsjal.jp/kawakami/ido_saito2.html
発表
  • 中川智子,人見美佳,池上摩希子(2015年2月21日).「『特別の教育課程』初年度を振り返る」(パネルディスカッション)第5回年少者日本語教育研究フォーラム(東京:早稲田大学).
  • 人見美佳(2014年12月20日).「年少者日本語教育とキャリア教育の関係性の考察――『主体性』と『自りつ』を視点に」第9回日本語教育学会研究集会中国地区(岡山:岡山大学).
  • 上原龍彦,井口翔子,人見美佳,尾関史,古賀和恵,武一美,金丸巧,塩見和代,藤倉遥,堀口茉莉,山口静香(2014年3月2日).「外国につながる高校生のキャリア支援には何が必要か――『大学に行ってみようプロジェクト』理念構築プロセスの分析から」第4回年少者日本語教育研究フォーラム(東京:早稲田大学).
  • 中川智子,人見美佳,池上摩希子(2014年3月2日).「学校現場の課題を,実践から捉える――行政と実践研究の連携」(パネルディスカッション)第4回年少者日本語教育研究フォーラム(東京:早稲田大学).
  • 田所希佳子,千花子,人見美佳,新井康敏,李址遠,可児愛美,孫淵(2013年3月30日).「SENDプログラムのパイロット研修報告2013(1)シンガポール班」早稲田大学日本語教育学会2013年春季大会(東京:早稲田大学)
  • 人見美佳(2013年2月18日).「『言語意識』と『キャリア形成』の関係性から考える高校日本語教育――日本語を学ぶ子どもたちの語りを通して」第3回年少者日本語教育研究フォーラム(東京:早稲田大学).
  • 武一美,金丸巧,上原龍彦,人見美佳,尾関史,横山愛子,本間祥子(2013年2月18日).「外国につながる高校生のキャリア支援とことばの教育――『大学に行ってみよう』の報告」第3回年少者日本語教育フォーラム(東京:早稲田大学).
  • 人見美佳(2012年7月28日).「高校日本語教育実践の新たな可能性――自己を捉え直す実践という試みから」関東地区2012年度日本語教育現場からの実践研究フォーラム「実践研究のプロセス――実践と研究のサイクルを考える」(東京:早稲田大学).
  • 横山愛子,人見美佳(2012年6月23日).「高校の日本語教育における将来を見据えた実践から考える――私にとって『アカデミック・ジャパニーズ』とは何か」日本語教育学会テーマ研究会アカデミック・ジャパニーズ・グループ(AJG)第27回研究会「アカデミック・ジャパニーズを問い直す」(東京:早稲田大学).
  • 上原龍彦,人見美佳(2012年3月4日).「複数言語意識は将来の進路選択にどのような影響を与えているのか――『大学進学』を果たした『移動する子ども』に対するインタビュー分析を通して」「移動する子どもたち」国際研究集会(東京:早稲田大学).
  • 中川智子,人見美佳,池上摩希子(2014年3月2日).パネルディスカッション「学校現場の課題を,実践から捉える――行政と実践研究の連携」(東京:早稲田大学).
その他
  • 日野国際友好クラブ日本語ボランティア教師養成講座「年少者のための日本語教育」・講師(2014年11月25日,12月2日)
  • 関西外国語大学異文化間コミュニケーション論・ゲストスピーカー(2014年11月20日).
  • 公益社団法人日本語教育学会2014年度日本語教師研修「JSLバンドスケール・ワークショップ――児童生徒のことばの力をどう把握し,実践をデザインするか」・アシスタント(2014年6月29日).
  • 早稲田大学大学院日本語教育研究科日本語教育実践ワークショップ「子どもの日本語教育―ことばの学びを支える教材・言語活動を考える―」・講師(2014年6月14,21,28日).

マルケス・ペドロ

研究・関心

第二言語として日本語を学ぶ子ども(以下,JSL児童)のアイデンティティ形成に関心があります。JSL児童が学校内・外でどのように自分を表象するのか,日本語を身につけていく中でその表象の仕方が変わっていくのか,またどのように変わるのか,そして日本語教育実践者にはJSL児童のことばとアイデンティティを支援することは何を意味するかについて研究しております。

自己紹介

サンパウロ大学総合哲学文学人文科学部日本語日本文学科卒業。大学3年次に,慶應義塾大学に留学。大学卒業後2年間,サンパウロ大学言語教育センターで日本語講座の講師としての活動により日本語教育研究,またバイリンガリズムや第二言語研究に興味を持ち始めました。2010年からは,文部科学省の国費留学生として日本に在留する多くのブラジル人児童の教育問題を早稲田大学で研究に来ました。2011年春学期に修士課程に入学し,JSL児童のことばとアイデンティティの課題を研究テーマに修士論文を書き,2013年3月に卒業。2013年4月に,同じ年少者日本語教育学の分野で博士後期課程入学。今後,博士課程では,JSL児童のことばとアイデンティティのダイナミックな変容プロセスを支援する日本語教育実践とはどのようなものかを研究していきたいと思います。

業績

論文
  • マルケス・ペドロ(2013).『JSLの子どものことばとアイデンティティの課題――日本語話者というアイデンティティの可能性を巡って』早稲田大学日本語教育研究科修士論文(未公刊).
  • 金丸巧,マルケス・ペドロ(2012).目標言語社会の一員としての意識を支える日本語教育実践とは――「2対2の実践」を通して『年少者日本語教育実践研究』18,21-30.https://gsjal.jp/kawakami/youngjis18.html
発表
  • マルケス・ペドロ(2013年2月18日).『JSLの子どものことばとアイデンティティの課題』(口頭発表).年少者日本語教育研究フォーラム第3回(東京:早稲田大学).
  • マルケス・ペドロ(2012年8月19日).『JSLの子どもにおけることばとアイデンティティをどう解釈し,どう支援するか――JSL児童生徒への日本語支援実践の事例を通して』(口頭発表).日本語教育国際研究大会名古屋2012年(名古屋:名古屋大学).
  • マルケス・ペドロ,松本裕典,角浜ひとみ,高須こずえ,田中奈緒(2012年9月9日).『「日本語話者」というアイデンティティ――「にほんご わせだの森」が目指す「つながりをつくる」ことの意味(口頭発表).国際研究集会:私はどのような実践を目指すのか――言語教育とアイデンティティ(東京:早稲田大学).
  • 松本裕典,角浜ひとみ,マルケス・ペドロ,高須こずえ,田中奈緒(2012年9月23日).『重ねた「対話」がもたらす言語教育観の更新――「つながりを作ること」を目指した「にほんごわせだの森」の実践のプロセスから』(ポスター発表).早稲田大学日本語教育学会 2012年秋季大会(東京:早稲田大学).