修士課程 44期生

2022年9月入学

許正佳

学部時代は中国の大学で日本語を専攻しました。学部3年次、新潟大学に交換留学し、異文化に心が引かれたほかに、日本でよく耳にするオノマトペにも関心を持つようになりました。それから、初留学経験から様々な悩みを解決するため、日本語教育における先行研究を拝読し、日本に留学した経験を持つ中国人を対象に、オノマトペの習得を巡って、卒論に取り組んでいました。日本語教育の知識をさらに勉強したく、日本語学習者とする日本語と日本文化に関する悩みを晴らすため、日研に入学することにしました。

日研に入ってから、日本語教育学の視野が広がっており、単に「日本語を学び」や「日本語を教える」だけでなく、異文化コミュニケーションの中の人と人をつなぐ日本語や日本語の教育が社会に果たす役割も重要だと実感できました。現時点では、日研で得た知見を活かし、日本社会の「女らしさ」に縛られた経験を持つフェミニスト日本語学習者とする親友のストーリーから、フェミニズムの視点から日本で生活している女性日本語学習者のアイデンティティ維持への支援を修論のテーマにして取り組んでおります。

研究内容

私の経験からだけでなく、多くのフェミニスト日本語学習者は日本に生活している際に、フェミニズム事情による異文化の差があるため、アイデンティティ・クライシスも起こることが多いことが観察できました。また、日本語学習者は母語の差異としてより敏感に扱いがちため、男と女を対立して取り上げている日本語の言語規則や日本文化に関するステレオタイプな内容が多い文化本質主義に影響された教科書を使用することで、日本社会に対するステレオタイプが起こってしまうことが多いです。そのため、現時点では、日本で生活するフェミニスト日本語学習者のアイデンティティーの維持には、日本語教育は何か支援できるかについて明らかにすることを目指しています。