2005年4月入学(9期生)
佐藤 貴仁(サトウタカヒト)
- 博士後期課程に在籍中
研究テーマ:カンボジア人日本語学習者の拗音の生成における誤用の傾向と発音難易度
この研究はクメール語を母語とするカンボジア人日本語学習者を対象とした拗音の生成調査から,その発音の特徴と誤用傾向の一端を明らかすると共に,拗音生成における相対的な発音の難易の傾向を明らかにすることを目的としている。
これまでにカンボジア人日本語学習者の音声に関する研究はほとんどされておらず,日本国内の学習者数名を対象とした報告があるに留まっている。よって,現地での学習者に対する横断的な実態調査研究は他に例がないことから,本研究をカンボジア人日本語学習者の発音に関する端緒的研究と位置づけることで,今後のカンボジア人を対象とした日本語教育研究の発展に繋げるためのものとしたいと考えている。
神山 由紀子
研究テーマ:外来語の習得過程を通してみる日本語学習者のモニター能力
研究目的
自己モニター能力を働かせている学習者は習得が速いといわれています。そこで,学習者の自己モニター能力が音声習得にどのように関わっているかを調べたいと思います。自己モニターの働きが音声習得に役立つことが明らかになれば,教師は学習者のモニター能力を活性化させるような指導を実践でき,学習者に自立的な発音学習を促すことができます。更に,音声指導の効果性も確かめたいと思います。この研究を通して,日本語学習者が日本語の音韻規則を学ぶことにより,自己モニター能力を活性化させ,日本語の音声習得を効果的に進めることができることを明らかにしたいと考えています。
研究内容
外来語(主に英語由来のもの)の日本語化には日本語の音韻規則がかなり反映されます。そこで,外来語の習得の過程を調査することにより,学習者の音韻習得の過程を観察することが出来ると考えます。そこで,英語を日常的に使用する日本語学習者に外来語の日本語化の規則を学ぶ短期の発音コースを受けてもらいます。そのコースの前後に発音テストを行い,外来語の発音の変化を観察し,同時に学習者の発音に関する意識を調べます。そして,音韻規則の知識がどのように習得に結びつくのか,学習者のモニターはどのように働くかを分析します。学習者の内部で何が起こっているかを調査する方法として,アンケート,フォローアップ・インタビュー,発話思考法(think-aloud)などがあり,どのような方法を用いたら,モニターの働きをくみ上げることが出来るか今,研究中です。
著書
そのほか
- 出身:東京都大田区
- 趣味:海外旅行,洋画鑑賞,お菓子作り等。
高橋 宜子(タカハシ ヨシコ)
研究テーマ:ソウル方言話者の発話における語頭子音のピッチへの影響
韓国語母語話者に指導する際,語頭の2拍を同じ高さと捉えたり,発話においても同じ高さで現れることが多々ある。東京語アクセントにおいて,語頭・句頭に現れるピッチの上昇はアクセントの型とは認められていないが,句をつくる働きをなしており,指導が必要ではないかと考える。しかし現場ではアクセント核についての指導が中心になりがちで,上昇に関しては体系化された指導法がない。
ソウル方言は東京語アクセントと異なり,音の高低に弁別機能はないが,子音によりピッチの高低にパターンがある。そこで日本語の発音においても母語の影響から子音によってピッチが異なると考え,4拍語(語単位)・句単位において語頭・句頭の子音がピッチにどのように影響するか,調査を行う。
子音とピッチの関係が明らかになれば,上昇を苦手とする環境や意識の向け方など,効果的指導法の提案につなげることができると考える。