新着情報――池上摩希子研究室

お知らせ

【終了しました】研究報告会2017
人によりそい,社会と対峙する日本語教育研究会

研究報告会に参加して

敷浪のぞみ(博士後期課程29期)

研究報告会は前半がゲストスピーカーの移住者3名の方々によるお話とフロアとのQ & A,そして後半が『わたしの物語』『わたしたちのストーリー』の解説と使い方の相談会でした。

今回の研究報告会の大きな特徴は,研究者が研究成果を発表することから始まるのではなく,移住者の語りを聞くことで始まるということでした。ゲストスピーカーの皆さんは日本に来ることになった経緯,日本での生活で感じたことなどを,時々言葉につまりつつも,思い出を振り返りながら,ご自身の言葉で語られました。それぞれの紡ぎだす日本語で語られた様々なエピソードから,新しい土地で暮らす苦労,異文化の中で抱く疑問,新しい生活の中で得た喜びなどが伝わってきました。

話を興味深く拝聴しながら,同時にオーディエンスに対してモノローグで話を聞かせるという形式の難しさを感じました。お三方は,オーディエンスの前で個人的な話をするという経験は以前あったのだろうか,と考えました。もし,私が見知らぬ人の前で個人的な話をすることになったら,やはりとても緊張して,話すつもりだったことを忘れたり,最終的に何が言いたかったか忘れてしまったりするのでは,と想像します。お三方の話を聞きながら,「語り」とは何か,私たちは誰に向けて「語る」のか,改めて思いめぐらせました。

八木先生がこの研究のきっかけとして「話してくれた協力者への還元」という観点を話されました。語りを学習リソース化するという試みにも,この報告会のような形式も大きな可能性を感じ,同時に刺激と学びを得ました。研究会自体のこれからの活動が楽しみです。

開催要領

日本には,すでに230万人以上の方が移住されています。しかし,その方たちが実際にどのように日本で生活し,どのような意見をお持ちかは,まだまだ日本社会に十分には伝わっていないように思います。そのような移住された方の声をもっと身近なものとして伝えたい,というのがこの研究会のはじまりです。

研究会では,2013年に『わたしの物語』という移住者の方のお話を集めた冊子を発行しました。そしてこの度,学習リソース『わたしたちのストーリー』(試作品)を作成しました。この本は,移住者の方のお話を学習のリソースとして使えるように構成したものです。またリソースを使ってみた実践例も紹介しています。

報告会では,前半に移住者の方(ストーリーで紹介されていない方)のお話をお聞きします。後半では,『わたしたちのストーリー』をもとにリソースや実践を紹介します。また,研究会当日,この本を使ってみたいという方も募集します。