担当講義より(シラバスより抜粋)
世界の日本語教育
日本国内外で行われている日本語教育について特徴や意義を知り,日本語教育全体の課題を考えます。
留学生,技能実習生,日系人など,「外国人」は,生まれ育った国から日本に移動し,自らの生を形成しています。そのような環境の中,言語はその人の思考や,家族,社会との関係を形成する重要な能力です。
本講義では,日本,海外を一つの連続した領域である「世界」ととらえ,その空間で自らの「世界」を形作る個人のことばの教育について考えます。
授業は,受け身の講義ではなく,参加者が資料や文献を元に,それぞれが関心のある在留資格,国籍の外国人の言語使用状況や,日本語支援の方法について調べます。その他,国際交流基金,海外日系人協会の教師研修関連のイベントなどを利用し,海外の日本語教育の状況についても考えます。
日本語教育実践研究(16)――海外の日本語教育
この授業では「海外の日本語教育」,つまり「日本以外の国・地域」での日本語教育に関する知識,ニーズ開発,支援方法等の習得を目指します。
なお,当授業では日本語教育研究センターの日本語クラスは実践対象とはせず,遠隔等により,海外の日本語教育現場とつなぎ交流します。
交流先は,できるだけ多様な地域,学校を選びます。
「海外の日本語教育」は,その環境,目的,対象によりその業務は多様です。日本との交流が盛んな国で就職,留学のチャンスのある国もあれば,日本とほとんど接点のない「孤立環境」もあります。日本語専攻の大学生,大学入試を目指す高校生,アニメ・マンガファン,国の外国語教育政策により日本語を学ぶ小中学生,アイデンティティに揺れる日系人,国際結婚家庭など,従来の「外国語としての日本語教育」だけでは対応ができません。このため,多様な価値観から日本語教育を捉え直し,対応する必要があります。
この多様性に応じるため,授業では多様な海外現場の声を聞き,学習者と接する機会を持ち,海外の日本語教育の目的,方法,その意義を考え,最終レポートにまとめます。
日本語教育実践研究(17)――海外実践プログラム
日本語教育実践研究(17)は,「海外実践プログラム」に参加する学生のための科目です。海外実践プログラム参加者は,派遣先機関の教師より指示,指導を受けるとともに,本授業において活動内容を共有し,課題の発展,問題解決を図ることができます。
実践17では,海外の日本語教育現場で実践を得ることで,現実の文脈において「海外の日本語教育」の意義を考え,その方法を考えます。その上で,自らが目指す日本語教育の理念,方法も刷新してください。
なお,同科目は秋学期実施科目ですが,「海外実践プログラム」での派遣が決まった後に,派遣予定者を対象に派遣準備課程を設けます。日程は追ってお知らせします。
※この科目は主として実践的な教育が行われる科目です。