授業紹介――ゼミの時間より

2009年春学期

3限目:自主ゼミ

ゼミ生たちがいろんなアイディアを出し合って勉強会の形でゼミを自主的に行っていますが,今期の自主ゼミは前半,後半に分けて主に2つの内容について勉強しました。

前半: 『日本語学習者の文法習得』という本を1週間にゼミ生1人が1章ずつ担当してレビューをします。文法習得について勉強しながら,問題点を見る目も磨いていきます。

後半: 自分の興味のある内容をゼミ生に紹介します。もちろん,日本語や日本語教育に関するものです。自分の研究だけではなく,他のゼミ生の研究や,幅広い知識をもっと知り,大きなプラスになります。

4限目と5限目:個人発表

一人が90分を持つ大切な時間です。発表者は研究の進行状況を報告して,ゼミのみなさんから貴重なコメントをもらいます。先行研究やデータ分析,研究方法などに関する研究の悩みをゼミ の中で分け合い,意見を交換したり,疑問点を打ち明けたり,みんなで一緒に考えていきます。

個人発表は決して簡単なことではありません。一生懸命に書いたもの,考えたものが時に無駄になることもあります。が,このような一回一回の試行錯誤が最終の修論・博論につながっていくのです。

ゼミの時間は時々穏やかで,時々活発で,毎回いい刺激を受けます。疲れを知らない指導教授と温かい仲間のサポートがあるからこそ,ゼミ時間がとても充実しています。(ケイ)

2008年春学期 (1)――深田先生の講演会

  • 深田淳(米国パデュー大学,准教授)

深田先生の講演会前日の勉強会(2008年7月8日:第2共同研究室)

2008年7月9日に行われた深田淳先生の講演会に向けて,勉強会を行いました。事前に配布されたレジュメをもとに,一つ一つそこでの論点は何かをみんなの知識を寄せ合って考えました。この勉強会をしたことによって,自分の中での疑問点が明らかになり,当日の講演会をより興味をもって聴く事ができたと思います。(さ)

深田先生の講演会(2008年7月9日:22号館617)

7月9日,「聴者側の意味,語用的分業と日本語受動文」という題で,深田淳先生による講演会が行われました。講演の内容は盛りだくさんかつ新鮮で,とても興味深く聴かせていただくことができました。先生のお話の中で興味深かったのは,ある文とそれに「対応するテモラウ文が成立する場合」,聴者側の意味がどうであれ,「被害の意味を帯びる傾向がある」という説です。しかしある文とテモラウ文が対応するかしないかという基準が今回の講演会の中では難解で理解がついていかなかったので,今度機会があったら,またじっくりお話をお聞きしたいなと思いました。(さ)

深田先生を囲んでの懇親会(高田馬場「もめん屋花」)

講演会の後,高田馬場駅付近の「もめん屋花」にて,深田先生を囲んで懇親会が行われました。会にはゼミ生以外にも数名の方が参加して下さり,いろいろな人たちと交流できる場となりました。深田先生はアメリカからいらしたばかりでお疲れだったと思いますが,最後までお付き合いくださってありがとうございました!!(さ)

2008年春学期 (2)

3限,4限,5限:修士・博士ゼミ

一人持ち時間90分。自分の研究についての悩みを打ち明け,有意義なアドバイスがもらえる貴重な時間です。発表形式やレジュメの書き方などは決まっていません。自分の研究の進行状況を考え,最も役に立つコメントがたくさんもらえるような形式を選び,各自で準備してきます。具体的には,研究計画書を書いてきたり,解釈に悩んでいるデータを持ってきたり,先行論文のレビューをしたりしていました。また,学会での発表のリハサールをするゼミ生もいれば,修了を控えている先輩は論文の一部を持ってくることもありました。研究の悩みを助けてもらいに,又は新しい刺激を求めに,ゼミ生各自が自分に与えられた90分を有意義に使っていた毎週木曜日のゼミでした。みんなで頭を寄せ集めて話し合っているうちに,思わぬヒントに出会い,また頑張ろうーとリフレッシュできる時間でもあります。

個人研究の発表以外にも,ゼミの時間でコーパスの勉強会を行ったり,学会に参加してきたゼミ生を中心に報告会を行ったりしたこともありました。

各ゼミ生が興味を持っているテーマは同じ文法といってもそれぞれであり,各分野の基本知識を確かめることもありました。「述べ語数と異なり語数」「タイプとトークン」「スコープとフォーカス」「日本語能力試験の出題基準」「グライスの協調の原理」などについて話し合ったことも一つの大きな収穫です。

ゼミの時間では,自分の研究について真剣に話を聞いてくれる仲間,一緒に考えてくれる仲間,共に成長していく仲間の存在の大切さをつくづくと感じることができます。これが忙しくも楽しい毎週の木曜日をみんなが楽しみにしている理由でしょう。(セ)

2007年秋学期

1限,2限:博士ゼミ

博士後期課程の学生が,週交代で個人研究の発表を行います。持ち時間一人2時間。「なんと贅沢なんだ!」と他のゼミの方から言われたこともあります。研究が進んでいる先輩は,投稿直前の論文や応募予定の原稿を発表に用いるため,それが後輩への良い刺激となっています。決して楽々なゼミではありませんが,どんなに叱咤されようと,日に日に研究が楽しくなってくるから不思議でなりません。(く)

3限:オープン演習

「各研究室からの積極的なテーマ発表や提案を受け,日研の開設当初からの課題である「理論と実践の統合」へ向けて,関係者相互の日本語教育研究の新しい展開を望むものである。」(「オープン演習趣旨」より)

参考:「2007年 秋学期 オープン演習」

4・5限:修士ゼミ

修士ゼミでは,「論文レビュー」または「個人研究の発表」のいずれかをゼミ生各自が選んで行いました。4・5限で3人が発表します。論文レビューでは,修論に関係する論文を選択する人が多いようですが,その内容はもちろん,論文の読み方,書き方も同時に学んでいきます。

途中で話が脱線して,日本語教育学,日本語学,言語学の基本知識の確認をすることもあります。paradigmatic(横の関係),syntagmatic(縦の関係),内の関係,外の関係,内包,外延,機能語,実質語,心理的主語,文法的主語,論理的主語,cross-sectional studies(横断的研究),longitudinal studies(縦断的研究),通時,共時,有対自動詞,内項,外項,格,FTA(Face Threatening Act),教材と教具,母語と第二言語,化石化,そしてなぜか皮蛋の作り方,炭酸カルシウムの化学式など,脱線話で知識が身に付くので,お得感があります。

個人研究の発表では,「テーマを選択するに到った経緯」が重視されています。「せっかく時間と労力をかけて研究するなら,一番興味のあることを!」ということなのでしょう。

修士ゼミは,コーパスの勉強会になることもあります。

また,ゼミ以外にも毎週金曜日に有志による勉強会も行われていました。(く)

2007年春学期

3限:コーパスの勉強会 or オープン演習に参加

「コーパスについての自主ゼミ」自主ゼミとしてコーパス勉強会は先学期に引き続き行います。しかし,オープン演習に参加する日も時々あります。オープン演習とは日研(日本語教育研究科)全体で行われるゼミのことです。研究分野,領域を超え,日本語教育の最先端のテーマ発表や提案などで他研究室の方と議論を行い,それをまた皆と共有することができる時間です。これからの日本語教育の在り方とは,と考えさせられる貴重な時間です。(ス)

4限:論文レビュー

ゼミ生各自が興味のある論文,修論・博論と関連のある論文を探して皆と読む時間です。様々なジャンルの論文が読めるので,視野が広がり,とても楽しい時間です。(ス)

5限:個人研究発表

研究の進み度合い,研究から生じた悩みなどを自由に発表する場です。同じ悩みを持っているからこそできるアドバイスで勇気付けられることもしばしばあります。また,気軽に意見交換もできるので充実した時間がおくれます。

木曜日の演習時間は甘くて時々苦い味がします。しかし,これが骨になり肉になると信じて今日も頑張っています。(ス)

2006年秋学期

  • 「ゼミの風景」(1)「ゼミの風景」(2)3限:日本語を分析するために――コーパスの勉強会
  • 4限:『プラグマティックスとは何か――語用論概説』(ジョージア・M.グリーン著,深田淳訳,産業図書,1990)の読書会
  • 5限:一番わくわく,ドキドキ,意見交流の場――個人研究発表

とはなりますが,コーパスの勉強会が中途半端なまま,むりやり「プラグマティックス」の読書会に入ることはありません。最後の個人による発表も気が済むまで討論できます。一つ一つ区切りのあるゼミの時間です。

小林先生とゼミのみんなは,とても柔らかい,かつ充実したゼミを作り上げています。(ら)