公開ゼミ

第2回――中間言語語用論のすゝめ

概要: これまでの中間言語語用論の研究を踏まえ,それらの成果をどのように日本語教育に応用していくのか,語用論的能力を発達させるためには,どのような指導が必要なのかということについてお話くださいます。

担当者より一言: 櫻井良美(修士課程27期)

今回の公開ゼミでは,第1回に引き続き多くのみなさまにご参加いただき,総勢40名となりました。「語用論」や「中間言語語用論」について,身近な例を通して理解を深め,改めて「コミュニケーション」について考えることができました。また,指導は難しいとされる語用論的側面の教育についても,先生のご著書である『中上級学習者のためのブラッシュアップ日本語会話――みがけ!コミュニケーションスキル』(スリーエーネットワーク)を参考に,必要な指導方法や,養成するべき力など,具体的な指導についてのお話をお聞きすることができ,語用論研究をどのように実践に生かしていけるかということについて学ぶことができました。

参加者より

講演を聞いて,自分の中国語学習を思い出しました。仕事の関係で,中国で生活していた時は,仕事の休みを取りたい時,「最近,休んでないんですよねぇ」などと遠回しな言い方をしていました。しかし,何度言っても相手に意図が伝わらず,ある時,中国語と日本語のストラテジーの違いを発見し,自分の話していた中国語には日本語の転移があったということに気が付きました。このようなことに気が付かない学習者はきっとたくさんいると思います。講演を通して「語用論的能力の指導」は教室活動の中で取り入れていくべきだと改めて感じました。

第1回――「評価」概念の広がりをとらえる

  • 日時: 2014年10月23日(木)15:00~16:30
  • 場所: 早稲田大学22号館508教室
  • 講師: 宇佐美洋先生(国立国語研究所・准教授)
  • 必読文献: 特になし

概要: 人によって,評価を行う際の価値観が異なることもさることながら,「評価」とは一体なにかという「評価観」自体,かなり異なっているように思われます。「そもそも評価とは一体何なのか」ということについて,グループ作業を通して考えます。

担当者より一言: 松浪千春(修士課程26期)

今回の公開ゼミでは,当研究室以外からも参加していただき,総勢約40名の皆様とともに,「評価」について考えました。「評価」と聞くとつい成績や試験を真っ先に思い浮かべますが,今回のグループ作業を通して私達が日々色々なところで「評価」をしていることに気が付きました。また,教育現場においては,評価の基準をどうするかということに目が向けられることが多いと思いますが,「評価」を考える際に「他の人がどう評価しているのかを整理して考える」ことも必要であるということを学びました。

参加者より

■ 評価の実例をグルーピングする作業を通して,各グループの分類の仕方が似ていたということから,評価に対してそもそも固定観念があるのかもしれないという気付きがあった。

■ 今までご著書を沢山読んできたが,今回はグループ活動を通して直接ご指導いただく中で,新たな視点や既存の枠組みに囚われない柔軟な発想を持つ姿勢が自分の中に実感を持って位置づいた。