演習クラスビジターとして,王婉莹(オウワンイン)氏来訪

6月24日の5限の博士課程の演習に,二人のクラスビジターを迎えた。中国清華大学外国語学院日本語学科の助教授,王婉莹(オウワンイン)先生と,教え子で,現在早稲田大学別科日本語専修課程に在籍中の張鵬挙さんです。

中国の日本語教育事情について語る王先生は,現在特別客員研究者として白百合女子大学で3ヶ月間研究活動のため来日中ですが,実は子育てをしながら36歳の時,鳴門教育大学で言語学博士号を取得した経歴を有する新進気鋭の学者です。現在教鞭をとっている清華大学は中国屈指の名門大学であり,早稲田大学とも8年以上の大学間協定を結ぶ大学として知られています。

中国は韓国,オーストラリアに次いで約24万人以上の日本語学習者がいるといわれています(国際交流基金1998年調査結果より)。2008年オリンピックの開催国(北京)となったことがきっかけで,近年中国国内では英語学習がブームになっている一方,日本語学習者数が減少している傾向があります。しかし,中国の急速な経済発展に伴い,日中両国間の経済,文化上の交流が深まっている現在,第2外国語として日本語を学びたい人がまだ多く存在しているのも事実です。今まで中国における日本語教育は日中対照言語学をはじめ,言語学,日本文化,日本文学に研究・教育の重点を置いてきましたが,これからは「文法中心」から「コミュニケーション中心」へ,「正確さ重視」から「意味伝達重視」へ,「教師中心」から「学習者中心」への移行,並びに研究課題はさらに教授法,第2言語習得,異文化間教育などの分野へ進むことが予想されます。また,日本語を専攻として学んでいる大学生達は,「実用性のある授業を望む」,「同時通訳のできる技能を身につけたい」などといった明確的で具体的な学習ニーズを持っていることがわかりました。短時間ではあったが,演習に参加したゼミ生には考えさせられるところがたくさんありました。

王先生,張さん,お忙しいところ,本当にどうもありがとうございました。またお越しください。

文責:葛 茜

参考:演習クラスのシラバス