日本語教育実践研究 (5)

受講生よりひとこと(2010年4月~)

2010年春学期

実践研究(5)を通じて,日本語授業や教材についての固定観念が大きく変わりました。

今まで自分が学んできた教材では,文型の説明が細かく書かれていて,それが使える状況は後から出てきました。かけらパズルを合わせるように,学んだ表現を状況という枠に入れようとするような気がします。そして,決まった状況の中で,自分がこの状況にいるなら…というように始まることが多かったです。

しかし,実践(5)で私たちが作り出した日本語授業・教材は,そのような文法説明や「あなたはこのような状況にいます…」というような勝手な状況設定が排除され,学習者一人ひとりの状況から始まりました。そして,授業中,学習者一人ひとりの状況に必要な語彙や表現を学んでいく形で,教科書も一人ひとりの異なるものが残りました。

学習者の状況から出てきた語彙や表現は,学習者がわざわざ覚えようとしなくても,その場ですぐ学習することができるので,自然に学習者の頭の中に残るのではないかと思います。

本実践を通じて,学習者にとって本当に必要な文法とは何かを考えるようになりました。それは,学習者一人ひとりの状況から始まることではないかと思います。

2010年春学期

「学習者が本当に表現したいことって何だろう。」そんなことを常々考えていた私は,迷わず「実践研究(5)」にチャレンジしてみました。

教科書もなく,最初は戸惑うこともありましたが,終わってみれば大満足! それは学習者それぞれが,見事に自分の話したい状況から出てきた自分の表現を獲得した姿を見たからです。自分の状況から離れて,突然教科書に出てきた表現や文法はなかなか使えなくても,自分の状況から出てきた表現ならすぐに使うことができます。

一人ひとりの学習者にはそれぞれ表現したいことがあります。しかし,それらを実際の授業で引き出し,自分の表現として獲得するのは,当たり前のようで実は新しい視点だと思います。試行錯誤もありましたが,みんなでアイデアを出し合い,小林先生からのアドバイスもいただき,学習者と一緒に新しい授業スタイルを作り上げていきました。

この実践で得たものをもとにして,日本語教育の現場で新しい展開ができると今からワクワクして期待しています。

参考

過去の受講生からのひとこと