報道等
岡田朋美さん(修士課程14期修了[研究紹介])は,栃木県野木町にあるリハビリ病院で,インドネシア人看護師候補者に対し日本語教育の担当をしています。その活動が朝日新聞で紹介されました。(以下,許諾を得て転載)
「合格待つEPA外国人看護師候補」
[写真]昨年9月から病院内で日本語教師のレッスンを受けているビンジョリさん(左)とダセップさん(中央)=野木町南赤塚のリハビリテーション花の舎病院
インドネシア人看護師候補者は2008年8月に第1陣の104人が来日し,県内では足利赤十字病院(足利市)が1人,宇都宮病院(宇都宮市)が2人,リハビリテーション花の舎(いえ)病院(野木町)が2人を受け入れた。
花の舎病院で受け入れているのは,ダセップ・サエプル・アンワールさん(28)とジャヒサル・ビンジョリさん(27)の男性2人。09年2月から,食事や入浴などの介助の仕事をしている。
2人とも母国では4年間の看護師歴があるが,来日前に日本語は話せなかった。それでも「新しいことに挑戦したい」「母国より進んでいるリハビリを学びたい」と来日した。09年2月に受けた1回目の国家試験は日本語で書かれた問題が読めず,鉛筆を転がしてマークシートを埋めた。
年1回の国家試験に3年以内に合格しないと,2人は日本で看護師になる目的を果たすことなく,帰国しなければならない。「どうするのが一番いいか」。同病院の船田淳子看護部長は2人と話し合った結果,「勉強が当面の2人の仕事」と試験の準備に重点を置くことを決めた。
昨年3月から週2回,埼玉県にある看護師国家試験に向けた予備校に通い始めた。9月からは週2回,病院内で日本語教師のレッスンも受けている。いずれも授業料,交通費などは病院の負担だ。2人の病院での勤務は1週間に計16時間ほどになった。
そして,迎えた2月11日,2人は日本人に混じって国家試験を受けた。日本語はかなり上達したものの,自己採点した2人の表情は明るくない。船田看護部長は「結果はまだわからないが,母国では優秀な人材。こんなにがんばったのに合格に届かないのであれば,国は何らかの対処をしてほしい」と話す。
候補者のあっせんをしている国際厚生事業団の聞き取り調査でも,全国の受け入れ施設から「何をどう教えるのか,施設にすべて任されているのはつらい」など悩みの声が相次いでいる。同事業団は新年度,国家試験対策のために候補者や受け入れ施設に補助金を出したり,過去の試験問題を翻訳したものを配ったりする方針だが,抜本的な解決策は見いだせていない。
◇EPAによる看護師,介護福祉士の候補者受け入れ◇
08年度からインドネシア人,09年度からフィリピン人の受け入れが始まった。母国では資格があっても日本では無資格扱いとなり,看護師は上限3年,介護福祉士は4年の滞在期間内に,日本の国家試験に合格しなければならない。不合格なら帰国する必要がある。看護師は年1回,介護福祉士は3年の実務経験の後に1回の受験資格がある。厚労省の外国人雇用対策課によると,09年2月に行われた看護師の国家試験には82人が臨んだが,合格者はいなかった。
以上,出典
- 細見るい(2010年03月20日).合格待つEPA外国人看護師候補『朝日新聞』栃木版.