実践研究10:音声教育
- 担当教員
- 戸田貴子(日本語教育研究科 教授)
- 期間
- 半期科目
- 時間
- 月曜日2限 10:40~12:10(発音:3限 13:00~14:30)
- 場所
- 早稲田キャンパス22号館 716号室(発音:早稲田キャンパス10号館 405号室)
- 提出課題
- 毎回の発音クラス(1コマ)で授業見学,個別発音指導,データ録音を行う。発音指導実践報告シートは,翌週の授業で提出する。また,対照分析レポートは2008年11月10日,総括レポートは2009年1月25日までに提出すること。
- 提出書類サンプル
- 見学レポート: PDF・WORD,サンプル
- 報告シート: PDF・WORD,サンプル
- 宿題コメント: PDF・WORD,サンプル 1,サンプル 2
講義内容
この実践研究では,様々な母語を持つ日本語学習者を対象とした発音指導の実践を通して,これからの日本語音声教育について考えていく。
まず,複数の外国語と日本語との対照研究を行い,学習者の母語と目標言語である日本語との相違点について,音韻論的観点から考察する。また,日本語学習者の発話資料を用い,聴覚印象に基づいた音声分析を行う。このような作業を通して,母語別日本語学習者による発音の特徴について理解を深めていく。
次に,日本語音声教育の方法論に関する先行諸研究について検討した上で,各自が教案を作成する。また,別科日本語専修課程・発音指導Aの授業を見学し,個別指導を中心とした実習を行う。実習後は,音声分析,自己分析,他の学生との相互評価を通して,総合的にフィードバックを行う。
項目 | 内容 | 課題・提出物 | 目的 |
---|---|---|---|
1. 対照分析 | 日本語と学習者の母語の音韻体系の比較を行う。 | 学習者の母語の音韻体系に関する中間レポート | 学習者による発音の誤用の原因について探る。 |
2. 音声分析 | 録音データを用いて誤用分析を行う。 | 発音指導実践報告シート(音声分析),音声資料 | 日本語学習者による発音の誤用の記述・分析を行う。 |
3. 教材・教案レビュー,作成 | 初級学習者のための発音指導教材レビュー,教材・教案作成を行う。 | 発音A教材レビューシート(教材分析),教案 | 発音指導に用いる教材の内容を理解し,学習者に対する発音指導の準備を行う。 |
4. 発音指導実践 | 別科日本語専修課程発音Aで個別発音指導を行う。 | 発音指導実践報告シート(指導記録) | 日本語学習者に対する発音指導の実践ができるようになる。 |
5. 自己分析・相互評価 | 発音指導後,自己分析並びに相互評価を行う。 | 発音指導実践報告シート(自己分析,相互評価) | 発音指導後の自己分析を行い,フィードバックを行う。 |
6. 総括レポート | 総括レポートを期末に提出する。 | 各自の記録による発音指導の成果と,作成した教材・教案を中心としたレポート | コースを通して行った音声,音韻研究および発音指導実践のまとめを行う。 |
発音コースの内容は,PDFを参照のこと。
評価
- 対照分析レポート
- 20%
- 教材・教案レビュー,作成
- 20%
- 発音指導実践報告
- 30%
- 総括レポート
- 30%
テキスト
- 戸田貴子(2004).『コミュニケーションのための日本語発音レッスン』スリーエーネットワーク.
オフィスアワー
木曜日12:00-1:00。toda@waseda.jpに連絡の上,事前予約をすること。質問・相談もメールにどうぞ。
出席・その他
出席は60%以上必要とする。病欠,休学などによる受講取消も上のメールアドレスに連絡すること。
録音再生機および録音メディア(カセットテープ,MD,DAT等)を用意する。
参考文献
- 鹿島央(2002).『日本語教育をめざす人のための基礎から学ぶ音声学』スリーエーネットワーク.
- 窪薗晴夫(監修),田中真一・窪薗晴夫(1999).『日本語の発音教室――理論と練習』くろしお出版.
- ロベルジュ,C.,木村匡康(編)(1990).『日本語の発音指導――VT法の理論と実際』凡人社.
- 国際交流基金日本語国際センター(編)(1992).『教師用日本語教育ハンドブック6 発音』凡人社.
- 杉藤美代子(1999).『日本語音声の研究7 教育への提言』和泉書店.
- 戸田貴子(2004).『コミュニケーションのための日本語発音レッスン』スリーエーネットワーク.
- 文化庁(編)(1982).『日本語教育指導参考書I 音声と音声教育』大蔵省印刷局.
授業の流れ
1. 実践研究 ― 実践研究の授業で
2週間後の実習教案を提出する(分担で1学期1,2回)。模擬授業を行う。
実習までの時間を利用して準備を行う。わからないことは1週間前の実践研究で質問し,確認する。
2. 発音A授業見学・実習 ― 発音Aの授業で
2週間前に話しあった実習教案に基づいて分担で実習を行う。(模擬授業を参考に補助教材を作成しておく。よりよい授業のために工夫をすること。)
3. 録音
実習時に音声データ収集を行う。
4. 音声分析 ― 自宅で
音声データ分析,実践報告シート(フォーマット:PDF・WORD,サンプル)の作成。また,授業見学をした人は見学レポート(フォーマット:PDF・WORD,サンプル)を作成する。
5. 自己分析・相互評価 ― 次週の実践研究の授業で
実践報告シート・見学レポートを提出し,ディスカッションする。