産学連携セミナー「すみだと考える多文化共生社会」

産学連携セミナー様々な国籍や文化を持つ人々が,対等な関係を築いて暮らせる社会を目指して,シリーズ・セミナー(全5回)を開催します。このセミナーでは,墨田区に在住する外国人や夜間中学校に勤務する日本語担当教員などを迎えて,意見交換を行います。多文化共生社会について,一緒に考えてみませんか。

終了しました。

第五回 すみだとすもうと外国人力士

  • 旭鷲山関2004年8月28日(土)13:00~15:00
  • すみだ中小企業センター5階 サンシャインホール
  • 旭鷲山昇関(モンゴル出身 日本相撲協会 大島部屋)
  • 宮田修教授(モンゴル国立大客員教授)
  • 司会:宮崎里司(早稲田大学日本語教育研究科教授)

墨田区・早稲田大学産学連携セミナー「すみだと考える多文化共生社会」5回シリーズの最終回として,大島部屋のモンゴル出身力士,旭鷲山関をむかえ,第5回セミナー「すみだとすもうと外国人力士」が開催されました。普段,間近で接する機会が少ない力士のお話を伺えるということで,大人だけでなく相撲ファンの子供の姿も見られる和やかな講演会になりました。

第5回セミナーでは,前半に旭鷲山関と司会兼セミナーコーディネーターの宮崎教授が対談を行い,後半ではモンゴル国立大学客員教授宮田修氏を迎え3人で会場からの参加者の質問に答えました。講演会終了後には,旭鷲山関と参加者が記念撮影をする姿も見られました。

発表の様子対談では,旭鷲山関が来日前に日本に対して抱いていたイメージから,来日後に直面した様々な体験,12年間の力士生活についての思い,2人のお子さんへのバイリンガル教育や自身と奥様の日本の大学入学,日本語学習体験について等,土俵では窺い知る事の出来ないいろいろなエピソードを披露してくださいました。

また,宮田氏を迎えた後半の質疑応答では旭鷲山関の母国モンゴルについてのお話と旭鷲山関の土俵外での活躍ぶり,旭鷲山発展基金の活動についてのお話がありました。

旭鷲山関の気さくな人柄とユーモアも交えた流暢な日本語の語りに参加者は惹きこまれ,2時間が短く感じられる講演会でした。

文責 中野真規子

第四回 国際理解教育から多文化教育へ――オーストラリアの取り組みから学ぶもの

  • 2004年7月31日(土)13:00~15:00
  • 前田耕司さん(早稲田大学教育学部教授)
  • 司会:宮崎里司(早稲田大学日本語教育研究科教授)

7月31日(土)すみだ産学官連携プラザ内「早稲田大学すみだサテライト・ラボ」(旧,西吾嬬小学校)[地図]において,第四回セミナー「国際理解教育から多文化教育へ――オーストラリアの取り組みから学ぶもの」が開催されました。墨田区の教育関係者だけでなく区外からも教育関係者,学生が多数来場し,総勢25名が参加しました。

第四回セミナーでは,早稲田大学教育学部で教鞭をとる前田耕司先生が,日本の「国際理解教育」を取り上げ,本当の多文化教育とは何かについて,オーストラリアでの取り組みを紹介しながら講演を行ないました。

セミナーでは,

  1. 日本の国際化政策の矛盾
    「国際理解」教育のあり方(アングロ化) ⇔ 地域社会の多文化多民族化
  2. 英語は世界の共通語なのか?
  3. 多文化教育(オーストラリアの事例)
    民族語学習と異文化理解学習の組織化

についてのお話がありました。

オーストラリアの事例紹介では,日本ではあまり知られていないオーストラリアにおける先住民族に対する政策,親子引き離し政策から民族語学習の保障という政策の変遷に関するお話があり,参加者にとって非常に興味深い内容でした。

講演後の参加者との意見交換では,日本での多文化社会の実現にむけて何が必要かについて活発な議論がなされました。

文責 中野真規子

第三回 自分のことばで語ることの意味――母語・第二言語,学校・地域の別を超えて

  • パネリスト2004年6月26日(土)13:00~15:00
  • 細川英雄さん(早稲田大学日本語教育研究科教授)

発表の様子早稲田大学で教鞭を執る,言語文化教育の専門家が,これまでの日本語教育の常識について再考する必要性を熱弁。一緒に,自分のことばで語ることの意味を考えなおしました。

6月26日(土)早稲田大学すみだサテライトラボにおいて,第三回セミナー「自分のことばで語ることの意味:母語・第二言語・学校・地域の別を超えて」が開催されました。遠方,愛知県からの参加者も含め,約20名が参加し,言語教育について活発な意見交換が行なわれました。

第三回セミナーでは,早稲田大学で教鞭をとる言語文化教育の専門家が今までの言語教育,日本語教育の再考をする中で「ことばの体得」についての講演を行ないました。

ことばの体得は学習者一人一人の生きた「言葉の活動」の中で生まれるということについて

  • 自分のことばで語るということ
  • ことばの主体化について
  • 私のことばとは何か
  • 個と社会の関係

という視点からの話をしていただきました。

また,言語文化教育の実践として行なわれた早稲田大学の留学生対象の「総合」クラスでの活動をVTRで視聴しました。

VTR視聴後,参加者全員を含め言語教育について活発な意見交換が行なわれました。

文責 中野

第二回:となりの席の外国人児童――教室,学校,地域社会

  • パネリスト2004年5月15日(土)13:00~15:00
  • 春日井章子さん(墨田区立堤小学校日本語通級指導教室担当教諭)
  • 川上郁雄さん(早稲田大学日本語教育研究科教授)

質疑応答5月15日(土)早稲田大学すみだサテライトラボにおいて,第二回セミナー「となりの席の外国人児童:教室,学校,地域社会」が開催されました。初回に引続き,墨田区在住者だけでなく,他地域で多文化共生の取り組みにたずさわっている方も多数来場し,総勢50名が参加しました。

第二回セミナーでは,墨田区の小学校通級日本語教室で教える教員から

  1. 堤小学校日本語学級設置の経緯
  2. 日本語指導,生活指導,国際理解教育について
  3. 子どもたちを取り巻く環境,子ども達の事例報告
  4. 今後の取り組み

についてお話がありました。

また,早稲田大学で教鞭を執る,年少者日本語教育の専門家から

  1. 日本語指導が必要な子どもたちとは誰か
  2. 「外国人児童生徒」は今の課題なのか
  3. 子どもの置かれている状況について
  4. 多文化共生社会に必要な視点とは何か

についての講演が行なわれました。

会場からの質疑応答では,中学校の問題,保護者の問題,地域での取り組みについても活発な意見交換がなされました。

文責 中野真規子

第一回:地域社会との協同作業を目指す産学連携プロジェクト――外国人,地域,日本語教育を考える

  • パネリスト 2004年4月10日(土)13:00-
  • 都野篤さん(墨田区立文花中学校夜間学級 日本語学級担当教員)
  • 見城慶和さん(えんぴつの会)
  • 文花夜間中学在学・卒業生 佐藤益子さん,ツォンさん
  • 司会:宮崎里司(早稲田大学日本語教育研究科)

墨田区中小企業センター・サンシャインホールにおいて早稲田・墨田産学連携プロジェクトのひとつの事業であるセミナー「すみだと考える多文化共生社会」(全5回)の第一回が開催されました。

発表の様子セミナーは国際交流と多文化共生社会を目指す墨田区の地域活性化プログラムとして,地域在住者や多文化接触の現場に携わっている専門家の意見交換と交流を目的に開催されました。当日は他地域からの出席者も含め総勢50名が参加し,熱心な意見交換も行われました。

第一回セミナーでは,

  1. 地域において外国人居住者の日本語教育の受け皿ともなり,多文化共生の最前線の現場となっている夜間中学校の教員による夜間中学校の概要と現況報告
  2. 夜間中学校に通う中国帰国者の学生と外国人卒業生の実体験の報告
  3. 地域日本語ボランティアによる現場報告

活発な質疑応答が行われました。また,参加者との質疑応答で地域の外国人受け入れに関して活発な意見交換がなされました。

セミナー終了後には,中小企業センターに隣接する,早稲田すみだサテライトラボで懇親会が開かれ,30名以上の参加者が出席,地域在住者,学校関係者,日本語支援ボランティアの方々が情報交換を行いました。

文責 中野真規子