特派員報告@長春

木村かおり

2.「まとめ」そして次の赴任先マレーシアへ

今,私は「海外における日本語教育とは何か」という問いを改めて,追究しようとしている。それには,赴任国で「日本人教師である自分は何をすべきか,何ができるのか」というより小さい問いに一つずつ答えることで,追究していくしかないかと考える。

写真 長春のローカルTVニュースに取り上げられた1枚: 吉林省で行われた日本文化祭で,吉林大学の学生が,私をインタビューし,それをローカルTVニュースが取り上げた。

今回は,特派員報告というより,上記の小さい問いに答えるために,前赴任先の出来事を学生のことばを借りて振り返りたい。

「日本人教師である自分は何をすべきか,何ができるのか」という自問は,この国に赴いて,急に起こったものではない。中国長春での赴任を経て,この地に来たから,再度同じ自問を繰り返すことになったのであろう。この地,マレーシアは,中国長春のプログラムと同様に政府間で取り決めた留学プログラムを持つ。俗な言い方をすれば,ただの留学プログラムであるが,そのプログラムの在り様に差異を感じ,その違いにそれぞれの国の立ち位置,国と国の関係の縮図が見えた。

二国間の経済的,政治的な結び付きについては,各領域の専門家が何度も述べている。しかし,留学生日本語教育という領域で,相手国との経済的・政治的関係を取り立てて,日本語教育について,何か述べることはそうそうないだろう。だからこそ,両国の関係を我々に思い出させるような学生たちの言葉を取り上げたい。そうすることで,赴任国で「日本人教師である自分は何をすべきか,何ができるのか」という問いに一つずつ,答えていくことができると考えるからだ。

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