大森 優
15期生:2008年春入学
大学院の2年間では,外国につながる児童の日本語支援,地域の日本語教室でのボランティア,「にほんご わせだの森」の実践,ライティング・センターなど様々な形で「日本語教育」に関わり,そして「日本語教育とは何か」をあらためて考えさせられました。
「地域日本語教育」と聞くと,「日本の各地域で,日本で暮らす外国人のために日本語を教えること」というものをイメージする人が多いのではないかと思います。私もそうでした。しかし,「わせだの森」という実践の場を通して,そこに集まる人々(いわゆる日本人も外国人も)にとって「日本語」がどのようなものであったのか,そこで得ていたものは何だったのかを考える中で,「地域日本語教育」はもっと広い捉え方ができるということ,というより,日本語教育の根本を問い直すものであるということに気がつきました。
修了した今,4月からドイツのボーフム・ルール大学で日本語教師として1年間働くことになりました。まだ始まったばかりですが,「地域日本語教育」を通して学んだこと,まずは一つつかんだものを,ここで日本語教育者としてどのように示し,また深めていけるのかを考えていきたいと思っています。
最後に,入学して間もない頃に書いた自己紹介文への答えとして。
池上先生の研究室には,私が入学の日に感じた,「温かさ」が確かにありました。それは,「甘い」「優しい」ということではなく,日本語教育や研究ということに真剣に,厳しく向き合いながらも,いつでも日本語教育に,そしてそれを通して出会う人々に,真摯に,心を持って接しようとする「温かさ」でした。
修士課程を修了し,私個人としてはやっとスタートラインに立ったところです。私も,人が人に触れ,人が人を思おうとする「温かさ」を持ち,「日本語」を通した「教育」とは何かを考え,実践しつづけていく日本語教育者であれるよう,これからも精進していきます!