研究内容・成果

日本語教育においては,多様化する学習者と多様化する教育方法について,議論が進んでいます。学習者を支援する支援者もまた多様化しているのが現状です。日本語教育の目的と方法について,改めて考察を進めることが,今,求められています。「地域日本語教育」という枠組みは「学校ではない場所」や「ボランティアという支援者」という括りだけでは語れません。学習理論と習得研究,また言語教育政策など関連の諸領域からの知見をもとに,「日本語を教えることと学ぶこと」について,理論と実践の両面から考えていきます。

進学を希望される方へ

池上より

「地域日本語教育研究」って何を研究するんですか…とよく尋ねられます。「日本語学習者が多様化していて,そこから日本語教育自体も多様化しているでしょう,広くそのあたりを扱おうと思ってます」と答えてはみますが,実はその領域も方法も確定しているわけではありません。なんとも心もとない状況で,研究室へのお誘いもあったものではありませんね。

写真しかし,まず,日本語教育を経験している方へ。考えてみましょう,日本語教育の世界は広いでしょう?「教室」だけが日本語を学んだり教えたりする場ではないですよね。「地域」は,この物理的な制約を越えることばでもあるわけです。では,日本語教育を経験していない方は,池上摩希子研究室の対象ではないとなりますか?そんなことはありません。ちょっと考えてみてください。日本語教育を,本当に「体験していない」んでしょうか。日本語を第一言語としない人に接したことはありますか。接したときにそこでコミュニケーションが生まれましたか。もし,こうした経験があったとして,それは日本語教育の第一歩ではありませんでしたか。教室を越えると,「教授-学習活動」が示すことも変わるかもしれません。「地域」はここでもひとつの制約,型を越えることばとして機能します。

写真日本という社会に住んで,生活して,日本語ということばを使って生きている人たち。地域日本語教育研究では,おとなも子どもも対象に,その人たちの周囲で起きていることを考えたいと思います。日本語を学ぶことも教えることも,そのさまざまな営みのひとつです。ひとつでしかないけれど,けっこう大切なひとつなので,日本語教育という専門の眼をもって見ていくことで,わかることが増えていくはずです。この「わかりたい気持ち」をもっている方,池上摩希子研究室で一緒に考えてみませんか。

箱根にて最後に一言。05年の9月に立ち上がったばかりの真新しい研究室です。ですから,何をすれぱよいのか道筋をきちんと指示してほしい方には,残念ながら不向きなのではないかと思います。でも,ひとつひとつ試行錯誤を積み重ねることを厭わず,そのプロセスから学んでやろうという意気込みをもっている方には楽しい場所になるかもしれません。アクセスしてみてください。

2005年11月 池上摩希子

在籍生より

そのほか,大学院生のみなさんの研究紹介が,大学院生・修了生コーナーからご覧になれます。