わせだの森:森で育まれた卒業生のいま

非母語話者である不安が自信に――いじょんみ

早稲田大学日本語教育研究センター非常勤インストラクター/
「親子日本語教室」代表:紹介ページ

とある日本語学校の面接を受けた際のことです。面接後,面接官より通称名のようなものを使うことはできないかという連絡がありました。私が非母語話者教師であることで学生が妙な評価をしてしまうことが心配だからというのが理由でした。一瞬戸惑いましたが,実は私自身もこのような心配はしたことがあり,恐らく,非母語話者で日本語教師を目指す人ならだれでも一度は考えたことがあるのではないでしょうか。この提案に対し,「これまでの経験上,学生と関係を創っていけば自分が非母語話者であることは問題にならなかった」と本名を名乗る旨を伝え,学校側もそれを理解してくれました。私がここまで言い切れたのは,「森実践」での経験が大きいです。

「森実践」では「非母語話者の履修生」としてではない,「じょんみ」という一個人として参加することの楽しさを覚えました。また,そこにいるすべての人がお互いの話を聞き,自分のことを話すという活動を積み重ねる中で築かれていく関係性の大切さを教わりました。

私のような立場の院生が今後日本で仕事(日本語教師でなくても)をする上で,「森実践」は非母語話者である不安が自信に変わる実践であると考えています。

(2008年春履修)

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