わせだの森:森で育まれた卒業生のいま
目指せ「自分らしく生きること」――塩島弥生
早稲田大学日本語教育研究センター非常勤インストラクター,他:紹介ページ
日研に入った頃は,「地域日本語教育」は私とは対極にある領域,と漠然と考えていました。それまで長いこと日本語学校の専任として「学校型」の中にどっぷり浸かっていたからです。しかし,日研での揺さぶりにおいて始まった自分自身の理解,解体,再構築の過程において,「それならいっそ,対極にある場所に身を投じよう」と思い,「わせだの森」に足を踏み入れることにしたのでした。
「森」の活動を進める中でわかったことは,私が「森」の中で実現したいと思ったことと,それまで「対極の領域」で実現しようとしていたことは,決して「対極」のものではないということでした。私たちは,自分らしく生きるために言葉が必要です。「生きること」に根差すことが言語教育の目指すところなのであり,それを獲得していくための方法や型など,学習者や参加者には関係ありません。生きることとそれにまつわる全てのこと,それを言葉にしていってもらいたい,という私の思いは,どこの領域にいても,変わらずに実現できることだったのです。
自分の思いをさまざまな場で実現してみること,日研にいる時だからこそできるのではないでしょうか。「森実践」とは何か。やってみなければわかりませんが,やってみた人には,必ず何かが見えて来ます。その経験は,仕事のみならず,人生にも影響を及ぼし,全てをつないでいきます。いわんや,修論をや。
やってみれば,わかります。
(2009年秋履修)