わせだの森:森で育まれた卒業生のいま
分かち合う場をつくる――江森悦子
日本国際協力センター日本語主任講師:紹介ページ
「日本語教育」に共通することは,目の前の相手に合わせて場をつくるということ。私はそのことを森で学びました。
森には毎回,初めての人,言葉の支援が必要な人など,様々な参加者が集います。ファシリテーターは参加者の状況を汲み取って場をつくります。ところが,日本語学校で教師経験が長かった私は場を仕切ることに追われ,「それはあなたのペースでしょ!」と指摘されながらも参加者の声を拾うことができませんでした。
教師主体であった自分を振り返り,参加者一人一人の表現を浮かび上がらせていくと,思いがけない瞬間に出会えます。留学生の王さんは,森でのコミュニケーションを「自分の外の世界を広げること」,「経験を豊かにすること」と私に教えてくれました。そんな参加者のことばから,それぞれの経験や考えたことを分かち合い,自分を更新させていく「場」の大切さを理解していきました。
仕事では,教育機関の求める目標や教え方に対応していかなければなりません。でも,どんな現場であっても相手を尊重し,分かち合う場をつくる視点が必要です。森の履修者は「どこでもやっていける」そんな強さを持って,日本語教師を歩むことができるのです。
(2013年秋履修)