第1号(2010年7月刊行)

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【研究論文】

「移動する子どもたち」のことばの教育学とは何か

川上郁雄(早稲田大学大学院)
■要旨
幼少期に複数言語環境で成長する子どもたちが増加している。本稿は,そのような子どもを「移動する子ども」という分析概念で捉えることを提起する。その分析概念としての「移動する子ども」をもとに,「移動する子ども」だった大人たちへのインタビュー調査を分析し,析出された不安感を含む言語能力意識を第二言語習得研究の成果と照らし合わせて検討した。そのうえで,「移動する子ども」の言語教育実践の構造を捉え直し,最後に,子どもと実践者双方にとっての「人が人によって人となる」ことばの教育学の創発を提示した。
■キーワード
  • 「移動する子ども」
  • 年少者日本語教育
  • 複数言語
  • 言語能力意識
  • 不安感
  • 「ことばの力」
■Entry
川上郁雄(2010).「移動する子どもたち」のことばの教育学とは何か『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』1,1-21.http://www.gsjal.jp/childforum/journal_01.html
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JSL児童が「書く」活動に参加するための日本語支援 ― 「ポスター活動」の支援実践から

唐木澤みどり(早稲田大学大学院日本語教育研究科博士後期課程)
■要旨
JSL児童に対する日本語支援において「読み書き」学習の支援は重要な課題である。特に小学校段階の支援はことばの発達にも影響を及ぼす。そこで,筆者が小学校において「書く」活動に参加することが困難なJSL児童に対して行った日本語支援実践を分析した。本稿では,特に2つの「ポスター活動」の実践を中心に分析し,「書く」活動に参加するための日本語支援のあり方を考察した。その結果,子どものことばの発達を考慮に入れながら,子ども自身がどのような活動にどのように参加したいかを子どもの視点で考えることを通して,「書く」活動に対して「参加したい」という参加意欲,「参加できそうだ」という自己効力感,そして「参加できた」という達成感をつなぐ支援が重要であることが明らかになった。
■キーワード
  • JSL児童
  • 日本語支援
  • 「書く」活動
  • 参加
  • ポスター活動
■Entry
唐木澤みどり(2010).JSL児童が「書く」活動に参加するための日本語支援―「ポスター活動」の支援実践から『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』1,23-45.http://www.gsjal.jp/childforum/journal_01.html
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