第2号(2011年5月刊行)
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研究論文
家族が語る「移動する子ども」のことばの発達過程 ―― 幼少期より日本で成長した生徒のライフストーリー
太田裕子(早稲田大学オープン教育センター)
- ■要旨
- 本稿では,3歳以来日本で成長した,ある「移動する子ども」のことばの発達過程を家族の語りから検討した。その結果,生徒がことばを使う範囲と経験が限られていた点,ことばの発達を促す上で他者の存在と支援の存在が重要である点,ことばに焦点を当てた支援によって中学校からでもことばの力が発達する点が明らかになった。また,生徒のことばの発達を促した日本語教育実践の特徴を検討した結果,幼少期より日本で成長する「移動する子ども」のためのことばの支援において,「移動する子ども」としての背景に対する理解,ことばの観点から学びの目標と内容を考えること,支援者と生徒との信頼関係が重要であることが示唆された。
- ■キーワード
- 「移動する子ども」
- ことばの発達過程
- 家族の語り
- ライフストーリー
- ■Entry
- 太田裕子(2011).家族が語る「移動する子ども」のことばの発達過程―幼少期より日本で成長した生徒のライフストーリー『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』2,1-25.http://www.gsjal.jp/childforum/journal_02.html
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子どもにとっての日本滞在・日本語学習の意味を考える ―― 短期滞在のJSL中学生に対する日本語支援実践での試み
井口翔子(ドミニカ共和国日本語学校)
- ■要旨
- 自己形成の重要な時期に国境やことばを移動しながら成長する子どもにとって,移動そのもの,そして移動の中における自身の成長をどう捉えられるのかは課題のひとつである。とくに,短期滞在の子どもにとっては,自分の移動を捉えることが移動の経験の肯定や,滞在地における学習意欲につながると考えられる。本稿では,約1年間のJSL中学生に対する日本語支援を通して,支援者がどのように短期滞在の子どもの課題を捉え支援をデザインしたのか,また,この支援を通して子どもがどのように自分の日本滞在を捉えていったのかを述べた。結果,子どもが支援を通して自分なりに日本語学習を意味づけて学習につなげ,また,自分の移動と日本滞在を位置づけていく様子が明らかになった。
- ■キーワード
- 年少者日本語教育
- 移動する子ども
- ライフコース
- 短期滞在
- ■Entry
- 井口翔子(2011).子どもにとっての日本滞在・日本語学習の意味を考える―短期滞在のJSL 中学生に対する日本語支援実践での試み『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』2,26-43.http://www.gsjal.jp/childforum/journal_02.html
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書評
子どものことばの教育学の新たな地平を目指して ―― 川上郁雄 著『「移動する子どもたち」のことばの教育学』(2011年,くろしお出版)
浜田麻里(京都教育大学国文学科)
- ■要旨
- 『「移動する子どもたち」のことばの教育学』について,「ことばの力」とJSLバンドスケールの関係,ことばの力を捉えることの政治性,「移動する子ども」学と「移動する大人」学,の3つの視点から評した。
- ■キーワード
- 移動する子ども
- ことばの力
- JSLバンドスケール
- 日本語公用語化
- 子どもの第二言語習得と大人の第二言語習得
- ■Entry
- 浜田麻里(2011).[書評]子どものことばの教育学の新たな地平を目指して―川上郁雄著『「移動する子どもたち」のことばの教育学』(2011年,くろしお出版)『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』2,44-50.http://www.gsjal.jp/childforum/journal_02.html
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世界の子どものことばの教室
天使の都の小さな教室で親と子どもは共に大きくなる ―― 「バイリンガルの子供のための日本語同好会」の歩み
池上摩希子(早稲田大学日本語教育研究科)
- ■Entry
- 池上摩希子(2011).[世界の子どものことばの教室]天使の都の小さな教室で親と子どもは共に大きくなる―「バイリンガルの子供のための日本語同好会」の歩み『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』2,51-56.http://www.gsjal.jp/childforum/journal_02.html
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「世界の子どものことばの教室」ネットワーク
ジャパニーズ・カルチャー・クラブ(アイルランド・ダブリン市)
- ■活動
- アイルランドの首都ダブリン市で,海外在住の子どもの日本語教育を考え実践しているボランティア・グループ。“日本語での楽しい体験”を大事に,地域コミュニティーに支えられながら,親子共々学んでいます。
- ■URL
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