第11号(2020年12月刊行)

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目次

研究論文




特集:COVID-19と「移動する子ども」

今般の新型ウイルスの感染拡大により、教育現場に多くの制限が生まれ、子どもたちの生活にさまざまな負担がかかっています。特に、世界各地で日本語を学ぶ子どもたちは、大きな壁に直面していることと思います。

そのような中で、実践者はオンライン等を駆使して子どもたちの学びを支えるために、懸命な努力と工夫を重ね、この困難な状況に立ち向かっていることでしょう。

本特集は、この困難な状況で、複数言語環境で学ぶ子どもたち、また、複数言語環境で成長した経験と記憶のある人が、どのように学び、どのように生きているか、「ことばの教育」とは何かを、改めて考えてみたいと思います。ここに、実践報告3本、エッセイ1本を収録します。


実践報告 ― 特集:COVID-19と「移動する子ども」


実践報告 ― 特集:COVID-19と「移動する子ども」


実践報告 ― 特集:COVID-19と「移動する子ども」


エッセイ ― 特集:COVID-19と「移動する子ども」




書評


書評


書評


研究論文

JSL高校生のアイデンティティの構築を支える「書く」日本語授業実践 ― 「自分自身」と「他者」の観点から

小林 美希(早稲田大学日本語教育研究センター)
■要旨
本研究は,「書かれた内容」と「書かれ方」の双方に注目した日本語授業実践におけるJSL生徒の学びのプロセスと,授業実践を行う上で必要な観点について明らかにするものである。日本国内にある全日制の私立女子高校における授業実践を事例とし,JSL生徒の日本語の学びの変化を「自分自身」と「他者」の観点から分析した。その結果,「書かれ方」について他者と「話し合う視点を共有する」ことにより,「書かれた内容」を巡る話し合いが深まり,JSL生徒の思考が整理されることが明らかになった。さらに,他者との話し合いを経て,JSL生徒は自分自身の学びを振り返り,「書かれた内容」をも深めていくという一連の学びのプロセスが見えてきた。以上の点をふまえ,JSL生徒のアイデンティティの構築を支える日本語授業実践に対する示唆を示した。
■キーワード
  • 年少者日本語教育
  • 高校生
  • 書く力
  • アイデンティティ
  • 他者
■Entry
小林美希(2020).JSL高校生のアイデンティティの構築を支える「書く」日本語授業実践―「自分自身」と「他者」の観点から『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,1-26.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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特集:COVID-19と「移動する子ども」

今般の新型ウイルスの感染拡大により、教育現場に多くの制限が生まれ、子どもたちの生活にさまざまな負担がかかっています。特に、世界各地で日本語を学ぶ子どもたちは、大きな壁に直面していることと思います。

そのような中で、実践者はオンライン等を駆使して子どもたちの学びを支えるために、懸命な努力と工夫を重ね、この困難な状況に立ち向かっていることでしょう。

本特集は、この困難な状況で、複数言語環境で学ぶ子どもたち、また、複数言語環境で成長した経験と記憶のある人が、どのように学び、どのように生きているか、「ことばの教育」とは何かを、改めて考えてみたいと思います。ここに、実践報告3本、エッセイ1本を収録します。

実践報告 ― 特集:COVID-19と「移動する子ども」

コロナ禍における「わにっ子ひろば@Zoom」での実践 ― JSL中高生の活動と実践者がともに学んだこと

塩田 紀子 髙橋英一 崔多恵(いずれも,早稲田大学大学院日本語教育研究科)
■要旨
本稿では,コロナ禍におけるJSL中高生の不安を解消し,学習や進路に対し前向きになるために行った実践を,実践者の観点から報告する。毎回の活動を通し,発見した実践者の気づきや学びを考察しつつ過程を論じた。
■キーワード
  • JSL中高生
  • コロナ禍
  • オンライン上でのわにっ子ひろば
  • 実践に向かう意識
  • 対話による思考力を鍛える実践
■Entry
塩田 紀子,髙橋英一,崔多恵(2020).コロナ禍における「わにっ子ひろば@Zoom」での実践―JSL中高生の活動と実践者がともに学んだこと『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,28-40.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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子どものことばの力を育むための遠隔実践の取り組み ― 海外の複数言語環境に育つ幼児が主体的に楽しめることばの活動の模索

塚本祥子(早稲田大学大学院日本語教育研究科)
■要旨
本稿は,子どものことばの力を育むための教育実践とはどうあるべきかについて検討するものである。そのために,筆者が海外の複数言語環境に暮らす幼児を対象に行った遠隔日本語教育実践の取り組みについて,実践者である筆者の内省や,幼児とのことばのやりとり,幼児の母親からの話をもとに考察した。結論として,子どもが自分を表現したり他者と関わったりするためのことばの力を育むには,実践者自身が子どもに主体的に関わることで良好な関係を築き,子どもがどのような点に楽しさを見出しているのかをよく観察し,子どもの主体性が発揮されるような活動を考えて実践していくことが重要である。
■キーワード
  • 年少者日本語教育
  • 複数言語環境
  • 海外
  • 幼児
  • 主体性
  • ことばの力
  • 遠隔実践活動
■Entry
塚本祥子(2020).子どものことばの力を育むための遠隔実践の取り組み―海外の複数言語環境に育つ幼児が主体的に楽しめることばの活動の模索『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,41-53.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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コロナ禍における日本語指導が必要な子どもに対するオンラインによる実践―実践者の不安と子どもの主体的な学びの姿について

髙橋英一(早稲田大学大学院日本語教育研究科)
■要旨
本稿では,筆者がコロナ禍において行った日本語指導が必要な子どもに対するオンラインの実践内容について報告する。筆者は,オンラインによる指導は,児童の主体的な参加,児童とのラポール形成にマイナスの影響があるのではないかと当初考えていたが,実際の実践では児童の主体的に参加する姿が見られた。以上のことについて,毎回の実践内容と考察を通して述べる。
■キーワード
  • インター校の児童
  • コロナ禍
  • オンライン
  • 実践者の不安
  • 主体的な学び
  • 遠隔実践活動
■Entry
髙橋英一(2020).コロナ禍における日本語指導が必要な子どもに対するオンラインによる実践―実践者の不安と子どもの主体的な学びの姿について『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,54-65.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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エッセイ ― 特集:COVID-19と「移動する子ども」

親として,教師として,子どものことばの学びをどのように支えることができるのか ― COVID-19の影響下で変容する日常実践の現場から

中野千野(ノースショア日本語学校教員)
■Entry
中野千野(2020).親として,教師として,子どものことばの学びをどのように支えることができるのか―COVID-19の影響下で変容する日常実践の現場から『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,66-79.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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書評

「移動する子ども」が自ら語る半生 ― ナディ(2019).『ふるさとって呼んでもいいですか ― 6歳で「移民」になった私の物語』大月書店.

東雅江(上智大学言語教育研究センター)
■Entry
東雅江(2020).「移動する子ども」が自ら語る半生―ナディ(2019).『ふるさとって呼んでもいいですか―6歳で「移民」になった私の物語』大月書店.『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,80-88.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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わたしの「まなざし」への探究が教えてくれること―中野千野(2020).『複数言語環境で生きる子どものことば育て ― 「まなざし」に注目した実践』早稲田大学出版部.

大川裕司(SCECGS Redlands, Department of Languages
■Entry
大川裕司(2020).わたしの「まなざし」への探究が教えてくれること―中野千野(2020).『複数言語環境で生きる子どものことば育て―「まなざし」に注目した実践』早稲田大学出版部.『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,89-99.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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岩城けいの世界を読む―『ジャパン・トリップ』(角川書店,2017),『Matt』(集英社,2018)

川上郁雄(早稲田大学)
■Entry
川上郁雄(2020).岩城けいの世界を読む―『ジャパン・トリップ』(角川書店,2017),『Matt』(集英社,2018)『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』11,100-113.http://gsjal.jp/childforum/journal_11.html
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